研究概要 |
酸化ストレスの増加がメタボリックシンドロームの発症に関与することが明らかとなった。しかし、過酸化脂質を臨床レベルで測定する方法がないためその詳細は不明である。メタボリックシンドロームの病態理解のためには、血液と脂肪組織そして全身臓器を結ぶ過酸化脂質動態を、リポ蛋白代謝との関連において明らかにする必要があり、その目的に適した過酸化脂質測定法としてイムノアッセイの開発が必要である。本課題では、過酸化脂質を簡便に測定できるイムノアッセイの開発を行った。 平成24年度では、ヒト血漿から,超遠心法およびゲルろ過HPLCにより高比重リポタンパク質(high-density lipoprotein,HDL)と低比重リポタンパク質(low-density lipoprotein,LDL)を単離し,それらを硫酸銅と反応させ酸化リポ蛋白(oxLDLとoxHDL)を作成した.液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)によりoxLDLとoxHDL中の過酸化コレステリルエステルおよび過酸化トリグリセリドの定性分析および判定量分析を行い、国際誌に投稿し査読者から高く評価するコメントを得た(Anal Bioanal Chem, 2012, 404:101-112;Anal Bioanal Chem, 2013,405:4981-4987)。また,酸化脂質に対する抗体作製の可能性を検討するために、各過酸化脂質を含んでいるLDLをマウスに免疫し、抗体価測定比較を行った。酸化LDLに対する抗体価の上昇は確認できた。
|