研究課題
IgGレセプターIII(FcγRIII: CD16)には、NK細胞とマクロファージ(Mφ)に発現しているIIIa型と、好中球に発現しているIIIb型があり、両者とも細胞の活性化によって細胞表面から放出され、可溶型 (sFcγRIII) として血漿中に存在している。すなわち、これら可溶型を個々に測定することにより、生体内での好中球,NK細胞あるいはMφの活性化を知ることができる。そこでIIIa型およびMφ由来のIIIa型に特異的なモノクロナル抗体を作成し、血漿中のsFcγRIIIaおよびsFcγRIIIaMφ測定法を構築した。さらに、化学発光系を利用して、約80倍の高感度化に成功した。動脈硬化症を来たすプロセスでは、特に酸化変性LDLがMφに際限なく取り込まれて動脈硬化の初期病変である泡沫細胞の集積をもたらし、ついには多量の脂質を含む不安定なプラークとなる。sFcγRIIIaMφ測定が生体内におけるMφ活性を表すことに着目し、血漿sFcγRIIIaMφを測定したところ、健常者では加齢とともに増加した。成人病検診症例では動脈硬化症のリスクファクターが増すに従い増加し、頸動脈エコー検査の結果と非常によく相関した。頸動脈エコー検査施行患者では低エコープラーク群が最も高値を示し、石灰化の進んだ高エコープラーク群は両プラーク混合型、プラーク無し、異常所見無しの群よりも低値を示した。また、血圧脈波検査施行患者では足関節/上腕血圧比(ABI)が高値の動脈硬化疑い群で高値を示し、ABIが低値の閉塞疑い群はABI正常群と同程度であった。虚血性心疾患(CAD)症例では明らかな高値を示し、冠動脈の有意狭窄数が増すに従い増加した。一方、糖尿病併発例では、非酵素的糖化反応の影響によりsFcγRIIIaMφ量が見かけ上低めに出る傾向が認められた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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