職業性皮膚炎を頻繁に生じさせる物質の1つである過酸化水素の皮膚に対する毒性について、倫理委員会の承認を得、健常人の協力もとで、過酸化水素の様々の濃度、暴露時間による皮膚への影響ついて、人の正常皮膚を用いて検討を行った。その結果、過酸化水素の障害は、外傷などのある皮膚では正常皮膚に比較し、数倍の鋭敏さで障害が誘導されることが判明した。また、正常皮膚に障害をおこす濃度と暴露時間も判明し、適正な使用指標となるデータが得られた。同時に検討したストレス応答因子のひとつである転写因子Stat3の活性が過酸化水素で皮膚表皮角化細胞に過酸化水素暴露早期から誘導されることも示すことができ、ストレスに対する早期応答因子として働いていることが示唆された。上記については日本研究皮膚科学会誌であるJournal of Dermatological Scienceに掲載された。また、ケトプロフェンなどの光感作物質について光アレルギー性の評価についてはTHP-1リンパ球を用いてin vitroでの反応性を評価し、部分的には有用であるが、適正濃度や刺激時間などについてはさらなる改善が必要である旨を第28回産業医科大学学会総会で発表した。
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