研究課題/領域番号 |
22590545
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研究機関 | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
研究代表者 |
久米 秀明 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部・プロテオームリサーチプロジェクト, 研究員 (50322714)
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研究分担者 |
朝長 毅 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部・プロテオームリサーチプロジェクト, プロジェクトリーダー (80227644)
松原 久裕 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20282486)
石濱 泰 京都大学, 大学院・薬学研究科製剤機能解析学分野, 教授 (30439244)
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キーワード | 癌 / プロテオーム |
研究概要 |
効果的な癌治療のために、早期診断や予後診断、局在診断をおこなうためのバイオマーカーの開発が求められている。我々は、大腸癌組織から調製した膜タンパク質画分について、プロテオームの手法を用いて網羅的に解析することにより、有用な大腸癌の新規バイオマーカーを見出すことを目的として本研究をおこなった。 ヒト大腸癌患者組織(良性腫瘍および癌組織)から調製した膜画分の網羅的な定量解析の結果、5000を越えるタンパク質を同定した。同定タンパク質の中から、良性腫瘍と癌組織、または、転移ありと転移なしの癌組織を比較して、有意に発現量の違いがみられた膜タンパク質や細胞外タンパク質を見い出し、大腸癌バイオマーカー候補タンパク質として検証をおこなった。100個を越える候補タンパク質の中の36個について、selected reaction monitoring(SRM)法を用いて検証した。この検証法により、抗体を用いずに、多くの標的タンパク質を同時に検討することができ、網羅的な定量解析やウェスタンブロットの結果とほぼ相関することが示された。SRM測定の結果、既に大腸癌での発現変化が報告されているタンパク質に加え、これまでに報告のない新規のバイオマーカー候補タンパク質が大腸癌の悪性化に伴って発現変化していることが示された。さらに、幾つかの候補タンパク質については、ウェスタンブロットや免疫組織染色法を用いた検証もおこない、良性腫瘍に比べ、癌組織で発現が増加し、非癌部に比べて癌部で高発現していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数のバイオマーカー候補となるタンパク質を同定し、その検証をおこない、大腸癌バイオマーカーとして有望なタンパク質を複数見い出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多くのバイオマーカー候補タンパク質の検証作業をおこなう。また、血清サンプルでの候補タンパク質の検出と定量についても検討する。
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