研究課題
癌の早期診断や予後診断、局在診断に有用なバイオマーカーの開発が求められている。我々は、大腸癌の新たなバイオマーカー候補タンパク質を同定することを目的として、プロテオミクス技術と組織アレイ解析法を用いて、大規模な網羅的な定量解析とその検証をおこなった。本研究では、大腸癌患者組織および良性腫瘍から膜タンパク質画分を調製し、iTRAQ試薬を用いた同位体標識後、質量分析器を用いて網羅的な定量解析をおこなった。その結果、5566種類のタンパク質が同定され、その中の1567種類のタンパク質は膜貫通ドメインを持つことが推定された。また、Gene Ontology解析の結果、その中の3087種類はmembrane、652種類はextra cellularに局在するタンパク質であることが推定された。同定タンパク質の中で、良性腫瘍と癌組織、又は転移なしと転移ありの癌組織間で有意に発現量の変化したタンパク質をバイオマーカー候補として、selected reaction monitoring (SRM)法を用いて検証した。候補タンパク質の中の105種類についてSRM測定をおこなった結果、78種類のタンパク質で有意な発現変化がみられた。さらに幾つかの候補タンパク質については、ウェスタンブロット法や免疫組織染色法での検証もおこなった。その中の2つの候補タンパク質は、良性腫瘍に比べ、癌組織で発現が増加し、非癌部に比べて癌部で高発現していることが示された。また、50または100検体、14種類の癌組織を含む組織アレイ解析では、大腸癌での高発現が確認されただけでなく、乳癌や胃癌でも高発現していることが示された。これらの結果から、2つの候補タンパク質が、大腸癌だけでなく、他の癌においても有用なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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