研究課題/領域番号 |
22590546
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
岩田 豊人 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00321894)
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研究分担者 |
村田 勝敬 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80157776)
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キーワード | 長鎖不飽和脂肪酸 / ドコサヘキサエン酸 / 心臓自律神経 / 神経運動機能 |
研究概要 |
「健康食品」(生理機能への良好影響をうたって販売されている食品)の摂取が期待されている通りの効果を示すかどうかを検証し、その他の健康食品の影響検討法にも応用をはかる目的で、機関の倫理委員会の承認後インフォームドコンセントを得て次に示す介入研究を行なった。健常な20歳代男女60名を対象としてドコサヘキサエン酸(DHA)を主成分とする市販健康食品を毎日6週間摂取してもらった介入群と摂取しなかった対照群とをランダムに設定し、摂取前、摂取後、摂取終了後6週間経過時の3回、心拍RR間隔に基づく自律神経機能と手のふるえなどの神経運動機能を測定した。 検査時3回の採血による血清DHA濃度は介入群で摂取後に上昇し、摂取終了6週間後に回復していた。またアラキドン酸とジホモーγ-リノレン酸は摂取後に減少していた。この間に肝機能への影響は認められず、体重も変化しなかった。手のふるえと反応時間の測定を行なって神経運動系への影響を検討したところ、これらの変化は認められず、血清中脂肪酸濃度との間に関連も認められなかった。一方、心拍RR間隔に基づく自律神経機能では副交感神経の活動レベルを反映する指標とエイコサペンタエン酸/アラキドン酸比との間に正の関連が認められた。心臓自律神経機能は長鎖不飽和脂肪酸の冠血管疾患予防作用にかんして注目されており、さらに用量を増やして効果の確認、ベンチマークドース法を用いた臨界濃度の推定、作用機序の考察を加える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者に6週の摂取期間を含め期日の決まった3回の測定を依頼する必要があるために、研究期間の設定が困難である。また、生理的影響の程度が予想より限定的であったことから、摂取量を増した検討を追加する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
過去年度と同じ母集団について、DHA摂取量を増やして自律神経系と運動神経系への影響検討を続行する。また、脈波伝導速度により血管系への影響を、色覚検査により網膜への影響を検討する。 脂肪酸増減の生理的意義を考察するとともに、ベンチマークドース法による臨界濃度推定を行なって、DHA健康食品の影響評価法を論文にまとめる。
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