「健康食品」(生理機能への良好影響をうたって販売されている食品)の摂取が期待されている通りの効果を示すかどうかを検証する目的で、機関の倫理委員会の承認後にインフォームドコンセントを得て次に示す介入研究を行なった。健常な20歳代男女にドコサヘキサエン酸(DHA)を主成分とする市販健康食品を毎日6週間摂取してもらった介入群と摂取しなかった対照群とで、摂取前、摂取後、さらに摂取終了の6週間後の3回、心拍RR間隔に基づく自律神経機能と手のふるえなどの神経運動機能を測定した。曝露量の正確な把握を行なうために血清中DHA濃度測定も行なった。最終的に対照群30人、用量を変えた介入群各32、29、30人の計121人の対象者を得ることができた。血中DHA濃度(平均)は摂取前85.0mg/Lであったところ摂取終了時に最も高い群で139.2mg/Lとなっていた。 摂取の効果は血清生化学的指標、手のふるえ強度とその周波数解析結果、反応時間では認めることはできなかったが、心拍RR間隔に基づく指標と心筋の状況を反映すると考えられる指標(QTc)とで影響を捉えられることが知られた。現時点で生理的意義を明確にすることは難しいと思われるが、客観的に得られる指標にもとづいて食品成分の効果を検討する目的への応用にこれらの方法は有望であると考えられる。現在解析結果について論文を準備中である。この他、習慣として摂取する魚の簡易頻度について聞き取りを行なっていたため、これと血清中DHA濃度との関連についても学会報告で結果を公表する予定である。
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