研究概要 |
実験動物を非拘束下(ストレスフリー)でしかも1回のアレルギー誘発物質投与のみで感作とチャレンジを引き起こさせ、再現性・精度良く気管支喘息を発症させることができる、革新的投与技術を開発する。平成22年度では、アレルギー誘発物質(ダニ抗原-ヂィーゼル排気ガス抽出物)を生分解性のポリマーであるメドジェルで包含後、マウス気管内へ自家製のカニューレで投与した。すなわち、アルミニウムジェル+ダニ抗原を2回腹腔内注射したマウスに、アレルギー誘発物質を1回、気管内投与後30日後に気道抵抗測定および肺病理標本作製を行い評価したところ、ポリマーなしでアレルギー誘発物質1回投与マウスと比較して、ポリマーありでは、気道抵抗性の向上と肺の病理変化が認められた。このことから、1回投与によるアレルギー誘発の可能性が示唆された。もうひとつの検討課題として、ダニ抗原と重金属(Pb,Sr,Cu,Cr,Ni,V,Sb,Co,As,Cd)の組み合わせ、ダニ抗原と芳香族炭化水素類(ナフタテン、フルオレン、フェナントレン、フルオランテン、ベンゾaアントラセン、ベンゾaピレン、p-ニトロフェノール)の組合わせによる気管内投与での気道抵抗性の変化では、コバルトCo、ニッケルNi、ベンゾアントラセン及びフルオランタンにおいて、気道抵抗の上昇が強いことがわかった。本データをベースに、ポリマー包含と上記物質のとの組み合わせによる1回投与アレルギー誘発を今年度は試みる。
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