研究課題/領域番号 |
22590550
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156674)
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研究分担者 |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
大前 和幸 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
田中 茂 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (60171758)
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70384906)
米本 幸二 久留米大学, バイオ統計センター, 講師 (90398090)
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キーワード | インジウム / 健康影響 / 生物学的モニタリング / 肺障害 / 血液 / 尿 |
研究概要 |
インジウム(In)は主にインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide : ITO)として薄型ディスプレイの透明導電膜に用いられる。ITOや他のIn化合物の吸入曝露により重篤な肺間質性障害を惹起するが、In化合物の生体内代謝や毒性機序については明らかではない。 In代謝の基礎的知見を得るために、塩化インジウムをラット気管内に1回投与し、肺吸収・分布・代謝・排泄について調べた。気管内投与後28日目においても肺に16%が残存していた。肺Inクリアランスは2相性を示し、半減期は第1相1.2日、第2相は27日であり、第2相の肺クリアランス寄与率が90%であった。血清In濃度は投与4日目に最高濃度を示し、その後は半減期9日で減少した。肝臓・腎臓中In濃度は投与7日目に最高値を示し、穏やかに漸減し、28日目では肝臓にIn投与量の約5%、腎臓に約3%が残存していた。糞中へは28日目までに投与量の約48%、尿中へは約7%が排泄されていた。血清中インジウムの存在形を明らかにする目的で、HPLCによる形態別分析を行ったところ、血清Inの99.9%は鉄運搬タンパクであるトランスフェリンと結合していた。また、尿中ではInは主に分子量1万以下の低分子分画として認められた。 次に、ITOや塩化インジウム曝露作業者の血清および尿中のIn形態別分析を行った。ヒト血清においてもInはトランスフェリンと結合して存在していたが、尿中では分子量1万で分画すると、ラットと同じくほとんどが低分子分画に存在する検体と比較的高分子Inが認められる検体が認められた。
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