研究概要 |
カーバメイト系農薬が化学物質過敏症、アレルギー等の免疫関連疾患などに関与していることから、カーバメイト系農薬の免疫系に対する影響の機序を明らかにすることは、予防医学・社会医学上極めて重要である。平成22-24年度の研究では、カーバメイト系農薬Ziram が免疫系の主役であるNK (natural killer)、LAK (lymphokine-activated killer)及びCTL (cytotoxic T lymphocyte)細胞活性を抑制することを明らかにした。平成25年度の研究ではカーバメイト系農薬ThiramによるPerforin/Granzyme/Granulysin の発現レベルへの影響を検討し、カーバメイト系農薬の免疫系に対する影響の機序をさらに追及した。NK細胞はNK活性を有するヒトNK-92CI 細胞を用いた。まず、in vitro においてThiramでNK-92CI細胞を処理し、それからFlow cytometry 法を用いてマウス抗ヒトPerforin 抗体、マウス抗ヒトGranzyme A/B/3抗体、ウサギ抗ヒトgranulysin 抗体による蛍光免疫染色法でNK細胞内のPerforin/Granzyme/Granulysin の発現レベルを測定し(Li et al. Toxicology, 2005, 2006, 2008,2012)、ThiramによるPerforin/Granzyme/Granulysin の発現レベルへの影響を検討した。 その結果、Thiramは顕著にNK細胞内のPerforin/Granzyme A/B/3/Granulysin の発現レベルを抑制することを明らかにし、免疫毒性においてThiramはZiramより強いことも判明した。さらに各抗癌タンパク質はThiramに対する反応性が異なることも判明し、その感受性はperforin > Granulysin > Granzyme 3 ≒Granzyme A ≒ Granzyme Bの順である。 以上の結果より、ThiramもZiramと同様にNK細胞内のPerforin/Granzyme A/Granulysin の発現レベルを抑制することを明らかにした。今後さらに他のカーバメイト系農薬についても検討していきたい。
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