研究課題/領域番号 |
22590555
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
網中 雅仁 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30231997)
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研究分担者 |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30321897)
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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キーワード | 中皮腫 / 動物実験 / 診断法 / 治療法 / 5-アミノレブリン酸 / PDD / PDT / レザフィリン |
研究概要 |
我が国では、新たな石綿の利用が全面禁止された。今後は、職業性曝露者や石綿関連工場周辺住民の他、石綿製品利用者や石綿除去作業者の健康問題が重要視されてきている。このような状況において中皮腫患者数が年々増加しているにもかかわらず、明確な早期中皮腫の診断法や標準となる治療法は確立されていないのが現状であり、新たな中皮腫の診断法および治療法の開発が急務である。 我々は、5-aminolevulinic acid(ALA)の腫瘍集積性を用いたポルフィリンのスクリーニングと光線診断法(photodynamic diagnosis;PDD)に注目し、挑戦的萌芽研究(初期中皮腫に対する革新的な診断法および治療法の開発平成20-21年度)によってPPDの有効性を明らかにしており、本研究では挑戦的萌芽研究において得られたPDD技術の向上に加え、光線力学治療法(photodynamic therapy;PDT)での検討すべき項目を精査し、さらに発展させるために中皮腫診断法及び治療法の確立を目的に研究を遂行している。 本年度は、ALAの投与量と中皮腫への集積までの至適時間、取り込み、代謝されたポルフィリンの蛍光強度に関する検討をおこなった。また、中皮腫発症とALA投与後の尿中および血液中ポルフィリンクリアランスを調べ、中皮腫治療に適正なALA投与量およびレザフィリンの併用投与について至適蛍光発色を含めて中皮腫細胞への集積性の検討に関する予備実験を実施した。 ALA投与量では100mg/kgを1度、2時間後に200mg/kgを1度の2回投与を実施し、初回投与から6時間後におけるALAの腫瘍取り込み量が至適な投与:量・時間であると推定された。また、中皮腫組織からはALAの代謝物と推定されるコプロポルフィリンIおよびIII、プロトポルフィリンIX等が高濃度で検出された。一方、尿中に排出されたポルフィリンは中皮腫ラットとコントロールラットであきらな違いを見出すことができた。これらの結果については次年度の解析を予定している。レザフィリン併用投与では、中皮腫組織への取り込みを確認するに至らなかった。ALAとレザフィリンの取り込み時間の相違や投与量の検討が必要であった。これらについても次年度に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、レザフィリン併用療法での予備実験に於いて相応の取り込み量と効果を推定していたが、レザフィリンの主要物質であるタラポルフィンナトリウムを中皮腫細胞に於いて検出するに至らなず、レザフィリン併用投与実験に実験動物を供給したため、腫瘍発現指標を検討する動物作成の時間が間に合わない状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に予定していた腫瘍発現の指標として、尿中8-OHdG濃度(HPLC-ECD,ELISA法)、バイオピリン(ELISA法)などの酸化ストレスマーカーの測定を実施する。腫瘍細胞でのヒドロキシラジカルの生成は腫瘍中ポルフィリン濃度に影響すると推察できるため、あわせて中皮腫におけるポルフィリン濃度を測定する。また、レザフィリン併用投与による中皮腫への取込み量について検討する。
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