研究課題/領域番号 |
22590560
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
武田 裕司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90302299)
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研究分担者 |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40333950)
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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キーワード | 予防医学 / 動脈硬化 / 糖尿病 / Th1/Th2 / 貪食能 |
研究概要 |
平成23年度は、高脂血症発症マウスにおける、動脈硬化感受性マウスと通常マウスの比較に加え、動脈硬化の危険因子となる糖尿病についても同様に検討を加えた。すなわち、臨床的応用を鑑み、末梢血全血中での細胞機能に着目し、血小板と炎症性細胞(好中球・単球)、リンパ球について、複数項目で比較し、相違の有無を観察した。 その結果、糖尿病モデルラット(G-Kラット)において、単球機能の貧食能の低下認められた。その一因として、G-Kラットにおいては、貧食に関わるレセプター(CD11b/c)の低下が認められた。この貧食能の低下は、血糖値を長期間改善しても回復しないことから、遺伝的背景に起因する現象である可能性が考えられ、動脈硬化危険因子の指標の候補となるのではないかと想定している。また、上記結果を論文として公表するに至った。 動脈硬化感受性マウスにおいては、抗炎症作用を惹起するペプチド(HP-2)を投与し、動脈硬化巣の改善とリンパ球の亜分画(CD^3+CD^4+CD45RB^<high>)の減少を認めることができた。また、G-Kラットにおいては、B細胞の比率が低下していた。こういったリンパ球集団の存在比率変化も、動脈硬化危険因子の指標候補の1つとして想定可能であり、現在投稿中である。 今後、血小板機能については、白血球と血小板の複合体形成能について、現在検討を進めているが、マウス血液を用いた血小板機能については、詳細な解析が困難であった。ヒト血液を用いて実験条件検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
糖尿病も高脂血症は、両方とも動脈硬化の危険因子であるにもかかわらず、予想外にも、動脈硬化感受性高脂血症マウスと2型糖尿病ラットとではヘルパーT細胞が異なる応答を示すことが判明し、現在その点においても解析を進めている。また、共通する点としては、単球機能の貪食能低下が認められた。ラット血液はマウスと比し、多量に採集できたことから、先行してラットモデルについて論文をまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの血小板は、ヒトの血小板との基本的機能について差異がみとめられた。このため、解析が困難である項目があった。そこで、ヒト血小板を用い、動脈硬化亢進に関与していると考えられている血小板-白血球凝集の誘導とその測定法について改めて条件検討している。
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