研究課題/領域番号 |
22590568
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研究機関 | 財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター |
研究代表者 |
内山 巌雄 財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, シックハウス医科学研究室, 上席研究員 (20151897)
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研究分担者 |
吉川 敏一 京都府立医科大学, 学長 (60128725)
高野 裕久 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60281698)
谷川 真理 財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, 臨床免疫機能研究室, 室長 (50291018)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 講師 (80469246)
村山 留美子 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20280761)
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キーワード | 化学物質過敏症 / シックハウス / ストレス / 免疫学 / 環境 |
研究概要 |
化学物質過敏症は、医学上原因不明の病態と言われており、その疾患概念や診断指針が明確ではない。また、病態解明についても、脳や遺伝子に着目した研究がなされているが、心理的な影響の関与も疑われており、未解明な部分が多い。本研究では、化学物質過敏症を訴える患者の病態解明に着目し、生物学的メカニズムや精神的な問題に関わるところを整理し、それぞれがどのように寄与しているか、あるいはそれらをどのように見極めるかについて検討を行っている。平成23年度は、平成22年度に得たデータを解析するとともに、本研究の代表者(内山)が担当医を務める医療法人社団医聖会百万遍クリニック・シックハウス外来の患者6名、外部リクルートで協力を得た健常者7名の合計13名に対して、(1)血液・免疫機能の評価、嗅覚負荷試験による脳血流の評価、(2)質問票を用いた心理検査を実施した。また、平成22年度に嗅覚負荷試験を実施した5名の患者に対して、1年後の状況を把握するために再度嗅覚負荷試験を行った。平成22年度のデータ解析では、サイトカイン産生能等の免疫機能において患者群と健常者群の間に有意な差が観察された。また、嗅覚負荷試験による脳血流の評価では、患者群では匂い提示で眼窩前頭領域における脳の活動が対照群よりも活発化した。その反応は、臭いや刺激に関する自記式主観評価と同様であり、自覚的により強い刺激を感じる匂い負荷に対して嗅覚中枢が過剰に反応しやすくなっている可能性が確認された。この結果を2012年3月に開催された第82回日本衛生学会で発表し、化学物質過敏症の診断方法の開発に向けて、本分野の研究者から好意的な意見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成22年度から平成23年度にかけての2年間の研究で、順調に研究対象者のリクルートを行うことができ、予定通りの実験を実施することができた。特に、近赤外分光分析計(MIRS)を用いた嗅覚負荷試験による脳血流測定の実験では、我々の仮説通りの結果が得られるとともに、関係学会における発表においても本分野の研究者から好意的な意見を得ることができた。加えて、複数の他の医療機関の研究者から研究対象者の協力申し出を頂戴することができたことから、今後さらに研究を進展させ、本分野における医学の発展に貢献していく所存である。以上のことから、(1)の自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
化学物質過敏症の病態解明に関して、本研究で実施する課題は、(1)生物学的指標を用いた化学物質過敏症を訴える患者の状態の把握、(2)質問票を用いた心理検査、(3)居住環境の実態調査の3つである。研究対象者は、本研究の代表者(内山)が担当医を務める医療法人社団医聖会百万遍クリニック・シックハウス外来の患者から研究に対する同意を得たものである。また、外来診療や外部リクルートなどにより、対照者を適宜選定し、化学物質過敏症を訴える患者と比較検討を実施した。平成22年度に研究を開始し、平成23年度までの2年間で、患者群16名、対照群17名(合計33名)のデータを得た。その結果、免疫機能評価や嗅覚負荷試験による脳の血流変化に差が観察されていることを見いだした。今年度は最終年度となり、これらのデータを総合的に解析するとともに、化学物質過敏症の病態解明について検討を行い、今後のさらなる研究計画を立案する。
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