研究課題/領域番号 |
22590577
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
本橋 豊 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10174351)
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研究分担者 |
金子 善博 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70344752)
佐々木 久長 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70205855)
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キーワード | 自殺 / 社会格差 / 自殺統計 / ソーシャル・キャピタル |
研究概要 |
勤労世代無職者の就業上の地位および職業別の自殺死亡率(平成20年)を、厚生労働省、警察庁、内閣府等の官庁データをもとに分析した。男性無職者の220歳代から50歳代までの自殺死亡率はきわめて高く、被雇用者と比較して7.4~10.6倍高かった。自殺死亡率は40歳代男性無職者が最も高く、人口10万人あたり302.6人であった。以上の結果は、勤労世代無職者が自殺のハイリスク群として重要であることを示しており、今後の自殺対策において留意すべきであると考えられた。 地域介入研究を実施している秋田県A町の住民16996人(有効回答数10799人)を対象に、地域住民の相談ニーズと自殺リスク要因(性、年代、世帯状況、就業状況、教育歴、K6質問票による心理的苦痛)の関連性について、ロジスティック回帰分析により解析を行った。相談ニーズは「誰に相談しらたよいか、どこに相談したらよいかわからなくて困っていること」の有無により評価した。その結果、相談ニーズありとの回答は13.7%であった。相談ニーズは、性、年代、教育歴、婚姻状況と関連していた。社会格差との関連で注目される教育歴については、教育歴の低さが「相談先がわからなくて困っている」という相談ニーズと有意に関連していた。 以上の結果から、自殺対策においては中年男性無職者をターゲットとした効果的な自殺対策の立案が求められるとともに、自殺対策の要となる地域住民の相談ニーズについては社会階層によるニーズを的確に把握した上で対応することが重要であることが、研究により明らかになった。
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