研究概要 |
ビタミンD濃度と教室参加終了1年後の体力との関連について検討した。茨城県Y町の特定高齢者を対象に運動教室開始時(pre)・終了時(post)・1年後(1Y)に質問紙調査・採血・体力測定を実施した。Pre・post・1Yのデータが揃っている者を解析対象(50名)とした。Pre25(OH)Dを4分位で3群(45nmol/L未満、45~67.5nmol/L、67.5nmol/L以上)に分類し体力変化を比較した。繰返しのある二元配置分散分析を施し、腎機能をeGFR60ml/min/1,73m2未満(腎機能低下有群)と以上(腎機能低下無群)に分け、年齢、性で調整した。解析対象者の平均年齢77歳で3群間に有意差は無かった。Timed up & go(TUG)とステップテストは交互作用が有り(P<0.001、P=0.023)、25(OH)Dレベルで体力変化パターンが異なっていた。次に、各群で体力変化を比較した。45nmol/L<25(OH)D群では握力がpostに比し1Yに有意に悪化していたが、その他の体力項目に変化がなく低いレベルであった。歩行能力を表わすTUGは25(OH)D<45nmol/L群では有意ではないが悪化していたが、25(OH)D≧45nmol/L群ではpostに有意に改善し、1年後にpostより悪化したがpreの状態を維持していた。筋力の指標であるステップテストは、25(OH)D≧65.7nmol/L群では、preの時点ですでに他の群より体力は高かくpostでも維持していたが1年後に悪化していた。25(OH)D<65.7nmol/L群ではpost・1年後でも改善しなく時間がかかっていた。腎機能を考慮しながら、歩行維持には開始時25(OH)D濃度を45nmol/L以上、バランス・筋力維持には65.7nmol/L以上を維持することが重要である。
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