研究課題/領域番号 |
22590579
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大久保 一郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40323307)
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研究分担者 |
星 淑玲 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90506320)
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キーワード | 予防接種 / ワクチン / 肺炎球菌 / 費用分析効果 / 経済評価 |
研究概要 |
2009年10月、乳幼児にも使用できる7価肺炎球菌ワクチン(PCV-7)がわが国で承認された。接種費用はこれまでのワクチンに比べ高額であるため、承認前から公的予防接種プログラムの実施が期待されている。現在、世界で30以上の国が小児の定期予防接種にPCV-7を組み込んでいる。しかし、定期接種の導入の経済的効率性に関する研究結果に多様性がみられ、cost-savingから1QALY(質を調整した生存年、Quality-Adjusted Life Year)獲得あたり100,000ユーロと報告されている。本研究は我が国における公費助成PCV-7予防接種プログラムの効率性を評価し、政策決定者の意思決定に有用な情報を提供することを目的とした。 二年目(2011年度)の研究内容としては、(1)前年度に構築した余命延長マルコフ・モデルと経済モデルを実際に走らせ、デバッグを行った、(2)デバッグしたモデルでベース・ケース分析を行った、(3)モデルの不確実性を検討するため各変数に対する一元感度分析を行った。(4)ベース・ケースと一元感度分析の結果に関して感染症の専門家の意見を求めた。(5)分析結果を更に整理し、論文を纏めるに際して必要な図表の作成を行った。(6)医中誌およびPubMedを用いてモデルに必要となるデータ、例えば、(1)わが国における乳幼児に対する接種政策または接種費用の負担制度、(2)自己負担と接種率の関連、(3)小児肺炎球菌関連疾患(髄膜炎・菌血症・中耳炎)の疫学に関する文献、(4)ワクチン血清型による髄膜炎・菌血症・中耳炎が各疾患に占める割合に関する新たな文献の検索を行った。 年度内に費用効果分析の結果が得られたことによって、来年度以降の研究が予定通りに運ばれる可能性が示されたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルに必要なパラメータは一応確保または推計でき、当該モデルにそれらを投入し、一定の費用対効果分析はできた。これまでも類似の研究を実施してきたので、今後必要とされる各ステップにかかる時間は把握でき、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のパラメーターの多くは、2次資料からの引用、または2次資料の組み合わせにより推計した値であるため、今後これらのデータの精度をより高めることが必要である。さらに各パラメーターの不確実性(Uncertainty)について、より質の高い感度分析(Sensitivity analyses)を行い、その後は論文としてまとめ投稿する予定である。
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