研究概要 |
2009年10月、乳幼児にも使用できる7価肺炎球菌ワクチン(PCV-7)がわが国で承認された。接種費用はこれまでのワクチンに比べ高額であるため、承認前から公的予防接種プログラムの実施が期待されている。現在、世界で30以上の国が小児の定期予防接種にPCV-7を組み込んでいる。しかし、定期接種の導入の経済的効率性に関する研究結果に多様性がみられ、cost-saving から1QALY(質を調整した生存年、Quality-Adjusted Life Year)獲得あたり100,000ユーロと報告されている。本研究は我が国における公費助成PCV-7予防接種プログラムの効率性を評価し、政策決定者の意思決定に有用な情報を提供することを目的とした。一年目(2010年度)は、医中誌およびPubMedを用いてモデルに必要となるデータに関連する文献の検索を行った。二年目は、構築した余命延長マルコフ・モデルと経済モデルを実際に走らせベース・ケース分析と不確実性を検討するため各変数に対する一元感度分析を行い、図表の作成を行った。乳幼児に対する肺炎球菌ワクチンの臨床経済学の評価の結果は以下の通りである。(1) 支払者の立場(すなわち、接種または肺炎球菌関連疾患罹患時の受診、のためのcare-giverの生産性損失を考慮しない場合)から分析を行った結果、乳幼児に対するPCV-7の定期予防接種は1QALY(質を調整した生存年)獲得あたりが約7,441,000円であった。(2)社会全体の立場から分析を行った結果(すなわち、生産性損失を含む場合)、1QALY獲得あたりが5,489,000円~9,065,000円であった。三年目は、分析結果を報告書にまとめたほか、欧文学術誌にも投稿した。交付申請書に記載した研究目的である「乳幼児の肺炎球菌ワクチン接種の定期化をめぐる議論に寄与させる」は遂行できたと思われる。
|