国立大学法人千葉大学総合安全衛生管理機構及び千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター研究倫理審査委員会に本研究の倫理審査を依頼し、承認された。各種ウィルス抗体価測定を依頼する臨床検査会社については「株式会社サンリツ」に依頼することが決定した。本研究の目的、方法、リスク等を協力被験者である留学生に理解してもらい、書面での了承を得るための説明書と同意書を日本語で作成し、それらを英語、中国語、韓国語に翻訳した。 今回の研究では外国人留学生を対象にして4種類のウィルス抗体価の検討が主たる目的であるが、その背景を把握しておくため、対照としての日本を含め、米国、中国、韓国、インドネシアにおけるこれらのウィルスに対するワクチン行政について調査した。米国、韓国、タイ、上海では1歳時および4-6歳時の2回、麻疹、風疹、おたふくの新三種混合ワクチン(MMRワクチン)を接種している。また、インドネシアでは生後9ヶ月で麻疹単独ワクチンを接種し、11~14歳でMMRワクチンを接種している。日本は従来1歳時に麻疹ワクチンを接種するだけであったが、世界保健機構(WHO)による2012年までの麻疹撲滅キャンペーンを受けて、2006年から小学校入学前の麻疹ワクチン2回目接種を開始した。しかし、2007年に大学生の間で麻疹が流行し始め、5年間の時限で中学校1年、高等学校3年生を対象とする麻疹ワクチン接種が開始された。日本ではMMRワクチンを用いていないので定期接種は麻疹だけで、諸外国と違い風疹、おたふくは任意接種である。水痘は米国では定期接種となっているが他国は任意である。米国では結核ワクチンであるBCG接種を行っていないが、日本を含めそれ以外の国ではいずれも生後6ヶ月以内に実施している。 これらの背景を考慮しつつ、2011年度には留学生の協力を得て(インフォームドコンセント)ウィルス抗体価検査、クォンティフェロン検査を実施する予定である。
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