研究課題/領域番号 |
22590582
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 真理 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90242875)
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研究分担者 |
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30262900)
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キーワード | 過重労働 / バイオマーカ / 心血管 |
研究概要 |
長時間労働により変動する心血管バイオマーカーを検索することを目的として、月間80時間以上の時間外労働(以下、長時間労働)者を対象とし、一般生化学検査とCBCに加え、アディポネクチン(ADI)・Matrix metallopeptidase (MMP)-9・Small-dense low density lipoprotein cholesterol (SD-LDL)・Malondialdehyde Modified (MDA)-LDL・ホモシステイン(HOM)・高感度- CRPを測定した。さらに、同一人で月間時間外労働が80時間未満の際に再度同様な項目の測定を行い月間時間外労働80時間以上のデータと比較検討を進めている。月間80時間以上の時間外労働後の検査でバイオマーカの基準範囲を逸脱した人数の割合は、Malondialdehyde Modified (MDA)-LDLが70%を超えていたが、今回検討した他のバイオマーカは20%を下回っていた。月間時間外労働80時間以上と80時間未満での同一例2回の比較検討では、MDA-LDLおよびMDA-LDLとLDLとの比(MDALDL/LDL)は月間時間外労働80時間未満で各々低い傾向と有意な低値を示したが他の項目では有意差を認めていない。MMP-9、SD-LDL、HOMは冠動脈疾患発症リスクを増加すること、高感度-CRPおよびADIは古典的危険因子とは独立した予後予測因子であること等が報告されている。MDA-LDLは、糖尿病や透析患者で高値を示し、冠動脈硬化症の二次発症等の予測にも有用であること、また、頚動脈内膜中膜複合体肥厚度が高値のとき、MDA-LDLが高い傾向が報告されている。長時間労働者の7割以上でMDA-LDLが基準値を超え、月間時間外労働80時間以上では80時間未満時に比しMDA-LDL/LDLは高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力を頂いている企業の過重労働減少に対する積極的な取り組みと、景気の低迷もあって、過重労働者数が予想を下回っているため、研究参加基準を満たす症例も減少していることから対象者数が当初の期待には達していないこと。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに研究対象者数を増加させ、MCP-1等のバイオマーカ解析を加えて研究を進めていく計画である。
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