滋賀県の健診・医療費データベースを用いて40歳以上33213人を対象に、循環器疾患危険因子の個数と総医療費との関連を検討した。総医療費は2000年4月から2006年3月までの6年間の年平均値を用いた。方法として歪んだ医療費分布を考慮し、ガンマ回帰モデルを用いた。循環器疾患危険因子は高血圧(収縮期血圧140mmHg以上もしくは拡張期血圧90mmHg以上)、脂質異常症(総コレステロール240 mg/dl以上)、高血糖(随時血糖200 mg/dl以上)と喫煙 (現在喫煙)の4つである。性・年齢階級別検討が実施された(40歳から65歳未満、65歳以上)。結果として、年平均医療費は循環器疾患危険因子なしの50歳の人で11万円程度 (男性:110 708円、女性:107 109円)であるものの、循環器疾患危険因子が3または4個の80歳以上の人では6から7倍に達した (男性:603 351円、女性:765 673円)。過剰医療費の割合は65歳未満の集団で大きく(男性:15.4%、女性:11.1%) 、65歳以上の集団では小さかった(男性:0.1%、女性:5.2%) 。また65歳以上男性を除いては、全体に占める医療費は1つまたは2つの危険因子をもつ集団の割合が大きかった。結論として、年齢別にみた循環器疾患危険因子の個数と医療費分布との関連から、65歳以上の高齢者に対するハイリスクアプローチとともに、集団全体に対するポピュレーションアプローチが、日本における医療費削減に必要なことが示された。
|