研究協力自治体が運営する公立病院の内科外来で、虚弱高齢者とみなせる70歳以上通院者65名を対象に、総合的機能評価の一環として、身体的日常生活動作能力、手段的日常生活動作能力、老研式活動能力指標、介護予防基本チェックリスト、認知機能測定(Mini-Mental State Examination、MMSE)及び身体機能測定(Up&Goテスト)を行なった。いずれの項目も虚弱高齢者に負担感を与えずに安全に測定できる項目であることを確認した。MMSEとUp&Goテストについて、手段的日常生活動作能力での障害の有無との関連を横断的に検討した。MMSE得点については、男女とも、広く用いられる判定基準である23点以下で障害を有する者が増加した。判定基準がないUp&Goテストについては、男12秒以上、女14秒以上で障害を有する者が増加した。虚弱高齢者に対する活動・参加の改善をめざす介入では、認知機能を評価するMMSEでの得点が男女とも23点以上を維持することを、また身体機能を評価するUp&Goテストの測定値が、男では12秒以下、女では14秒以下を維持することを目標にするとよいと考えられた。 認知機能を維持する訓練としては、その高齢者が以前は行なっていたが最近は行なっていない日常生活行動の中から、本人にとって意味のある行動を選定し、その行動の再開を支援する作業療法が適応になると考えられた。身体機能を維持する訓練としては、歩行能、平衡能、柔軟性を維持向上させる運動療法が適応になると考えられた。 今後、65名の通院者を対象に、作業療法と運動療法を処方する期間を設定し、作業療法と運動療法を処方されなかった期間を対照相、処方された期間を介入相として、2つの相の間で、上記目標値を維持した者の割合を比較する。この結果に基づき、作業療法と運動療法が活動・参加の維持に効果的かを考察する計画である。
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