研究課題/領域番号 |
22590592
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 重幸 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60253994)
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研究分担者 |
島本 和明 札幌医科大学, 学長 (40136940)
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20359996)
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キーワード | 疫学 / 悪性新生物 / 生活習慣病 / 耐糖能異常 / 動脈硬化 / 危険因子 |
研究概要 |
解析データベースの症例追加を行うべく平成23年度も北海道S町における健診成績と予後調査を実施した。過去の22年間の2014名の健診成績より個々の対象の血圧値、BMI、血糖値、中性脂肪値、HDLコレステロール値、白血球数など基本測定項目の経過の変化を評価した。加齢と共に血圧値、中性脂肪値、BMI、血糖値、白血球数などの平均値は有意に増加することが示された。この間358名の心血管疾患および悪性新生物死亡が登録されているが、これら死亡者では生存者に比して血圧値、中性脂肪値、血糖値、白血球の平均値の増加の程度は大きく、これらの変化が心血管疾患および悪性新生物の関連因子となることが確認された。またメタボリックシンドローム(MetS)と喫煙の合併の心血管疾患と悪性新生物発症に与える影響を解析した。対象は初年度健診データより、日本内科学会基準によりMetSを判定し、喫煙状況により、それぞれの「有・無」により4群に分類して、最大16年間の生命予後を追跡した。この間の総死亡者数は285名であり、この内、悪性新生物死亡者は182名、心血管疾患死亡者は200名である。Cox比例ハザードモデルの解析で耐糖能異常無し・喫煙無しの正常群を対象とすると、喫煙単独群で総死亡は1.32(95%CI:1.11-4.08)、MetS単独群で1.66(1.27-5.44)、MetSかつ喫煙群で1.80(1.33-7.63)と悪性新生物・心血管死亡での相対危険は上昇した。BMI高値の肥満者を除く集団で検討するとこの傾向は強くなった。心血管危険因子であるメタボリックシンドロームは悪性新生物のリスクに一部関連するものと考えられる。メタボリックシンドロームでの酸化ストレスの検討などを次年度は継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度で保存血清からインスリン抵抗性、耐糖能異常、メタボリックシンドロームでの酸化ストレス、炎症マーカーの測定を実施して悪性新生物と心血管疾患死亡に共通の要因を同定することにより当初目標まで達すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
追跡対象者での死亡者、生存者各データベースでの測定諸量、および保存血清からの酸化ストレス、アディポネクチン、BNP、高感度CRPなどの測定値を検討して、生活習慣病進展における共通因子を明らかにする。そのためにより長期の追跡研究が必要である。
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