研究課題
基盤研究(C)
医療の担い手についての科学的研究は医療の質を向上させるためにきわめて重要である。本研究では、精神医学的および行動医学的介入において必要な医療面接から支持的精神療法そして認知行動療法に至るまでの面接技能の教育プログラムを開発し、その有効性と実効性を実証することを目的として、具体的な教育プログラムとそのアウトカム測定の体系を開発することを目的とし、以下を行った1) ロールプレイを用いた支持的精神療法の演習2) うつ病に対する認知行動療法を医師が行えるための簡易マニュアルを整備3) さらにそれをワークショップで演習4) 各研究分担者が不安障害や統合失調症を対象に認知行動療法を施行5) 被訓練者は訓練開始時のWAI , ESなどを測定した結果、計35名の大うつ病またはパニック障害の患者に認知行動療法を施行できた。大うつ病患者では平均13.5回(範囲:10-17回)のセッションが行われ、治療開始時と終結時でBDI-II得点が23.1 (SD=11.2)から16.6 (SD=11.4)点に減少した。これは前後比較の効果サイズで0.59に相当し、中等度以上の効果であった。また、このうち23名についてWorking Alliance Inventory (0-84点)及びEmpathy Scale (0-70点)が測定されており、それぞれの得点は平均69.0点(SD=10.0、範囲:49-82)、平均56.4点(SD=7.0、範囲:38-65点)であった。WAI得点とES得点の相関は0.87であった。Working AllianceおよびEmpathyは十分に達成できたと評価された。
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