研究課題/領域番号 |
22590598
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
北野 尚美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40316097)
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研究分担者 |
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80196865)
竹下 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20150310)
西尾 信宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00278631)
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キーワード | 川崎病 / 疫学 / コホート研究 / 冠動脈 |
研究概要 |
本研究の目的は、川崎病の既往歴を有する成人の健康状態を包括的に把握し、血管炎、特に冠動脈炎の長期経過を疫学的に解明することである。生活習慣病の関連要因が川崎病既往者の長期経過に与える影響を明らかにするなど川崎病罹患者の健康寿命の延長に寄与することを目標とする。川崎病全国調査によると年間報告数は日本で1万人を超え2003年以降増加傾向にある。川崎病罹患者の年齢は上昇してきており心血管イベントの実態把握とリスク要因に関わる疫学研究の必要性が高まっている。 本研究では、川崎病既往歴を有する症例コホートの前向き観察によって、川崎病の長期経過について縦断的な疫学研究を行う。川崎病罹患が死亡および心血管イベントのリスクとなるか検討する。研究期間内にはパイロット研究を行う計画で、ホスピタル・ベースとコミュニティ・ベースで川崎病既往者のコホートを樹立する。 平成22年度からホスピタル・ベースで川崎病既往者のコホートを樹立するため準備を進めている。和歌山県下で過去に発生した川崎病症例の情報を集約してデータベースを整備した。県下の悉皆性のある報告数と国勢調査の情報を用いて川崎病の年間罹患率を検討した。集積された症例データを基に、冠動脈瘤発生に関わるリスク因子について分析疫学の手法を用いて検討した。 ホスピタル・ベースでの前向き観察の研究参加登録は、これまで定期通院中であった川崎病既往歴を有する成人や年長児とその保護者から研究参加の同意が得られて、研究参加者の協力を得ながら急性期の情報を収集し、ベースライン調査を開始した。川崎病罹患後15年前後を経過した成人における血管内皮機能検査や心血管系の画像評価の撮像条件と解釈について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の調査データから地域での川崎病の年間罹患率と臨床疫学像を把握した。川崎病罹患者の前向き観察研究を開始するにあたって、共同研究者および研究協力機関・担当者との意見交換と調整を重ねて研究計画書を準備し、大学が設置する倫理委員会で疫学研究に関する倫理指針に基づいた研究倫理審査を受けて承認を得た。ホスピタル・ベースで前向きコホート研究を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
ひき続きホスピタル・ベースでの研究参加者を増やし、観察開始時のベースライン調査を進める。加えて、コミュニティ・ベースで川崎病既往者のコホートを樹立するためには、地域や職域、親の会、行政等と連携が必要であり準備を進める。一旦経過観察が終了して成人に達している既往者や、過去に定期通院から脱落していた既往者に対しても研究告知が届くようなシステム構築を目指す。川崎病罹患後の冠動脈と心筋の画像について、検査条件と得られた情報の検討を進め、川崎病急性期の診療情報とベースライン調査の結果について関連を検討する。
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