研究課題/領域番号 |
22590600
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研究機関 | 日本赤十字北海道看護大学 |
研究代表者 |
HANLEY Sharon 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (80529412)
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研究分担者 |
櫻木 範明 北海道大学, 医学研究科, 教授 (70153963)
今野 良 自治医科大学, 医学部, 教授 (70271905)
伊藤 善也 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 教授 (70241437)
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キーワード | ヒトパピローマウイルス(HPV) / ワクチン / 子宮頸がん / 思春期女子 / 疫学調査 / 予防医学 / 公衆衛生学 |
研究概要 |
娘を持つ親がHPVワクチンをどの程度受け入れるかを分析した研究が数多く行われてきた。しかし、母親の子宮頚がん検診の受診とその娘のHPVワクチン接種の関係に関する論文は少ない。今回の研究の目的は母親の子宮がん検診の受診と娘にHPVワクチンを接種させようという意志の関係を明らかにすることであった。 調査は横断的研究と無作為割付介入研究を同時に実施した研究である。酒田市と北見市を調査地とした。市内の小・中学校の11-14歳の娘を持つ母親、3530名を対象に調査1と同じ要領で質問紙調査を行った。ただし、調査の中で対象者を無作為割付により2群に分けて、一方にはHPVについて詳細な情報を提供した。対象地として選択した酒田市と北見市は子宮がん検診受診率に大きな差がある:検診受診率は北見市の7%に対して酒田市は55%である。すなわちこの横断的研究により子宮頚がん受診率の高い地域ではワクチン受容度が高いかという仮説を検証することができる。また、無作為割付介入試験を行えば詳細な情報提供によりワクチン受容度が高まるかどうかという仮説を検証することもできると考えた。 HPVと子宮頸がんに関する情報を提供することでHPVや子宮頸がんに関しての知識を増やすが、ワクチン接種をしようという意志は高まらなかった。娘に且PVワクチンを接種しようという意志は母親が子宮がん検診を受けている場合に高かった。母親は子供の健康行動に大きな影響を与え、その健康行動は思春期から成人期にかけて継続されるので、検診を受けない母親の娘は成人になっても検診を受けない可能性が高い。さらにそのような女性達はワクチン未接種のまま経過する可能性が高いことを我々は明らかにしてきた。集団の一部が思春期にワクチンを接種せず、成人になって検診を受けなければ、子宮頸癌検診とHPVワクチン接種を組み合わせた事業の(費用対)効果は確実に下がっていくだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査(1)(予備調査)および調査(2)(本調査)が順調に終わり、研究結果を国際ジャーナルに投稿した。また関連学会で研究結果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度、23年度で得られた研究結果をさらに和文および英文で論文発表し、国際学会を含めて関連学会で報告する。このなかの議論を通じて日本国内のみならず、諸外国との比較から接種率向上がどのように達成されるのかの考察を深めていく。
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