研究課題
我々は、頸動脈内膜剥離術(CEA)施行例を対象に、外科的に切除されたプラークの病理所見と対応しながら、イベント発生の危険度を的確に評価できるバイオマーカーの探索を行ってきた。これまでに、S100A12蛋白の血中濃度の測定が、内頸動脈硬化症の患者と健常者との区別に有用であること、また、血清ペプチドのプロファイリングにより、補体成分C3aの分解産物が患者群の中で高危険度群と低危険度群を区別できることを明らかにしてきた。今年度、これらのマーカー候補因子の特異的なELISA系を開発したので、追跡開始後6年以上経過したコホート研究の保存血清480例の濃度を測定し、ベースライン調査との比較を行った。S100A12の平均値と中央値はそれぞれ、195(±141) ng/ml、166 ng/mlで、最高値は1468 ng/mlであった。また、とC3a分解産物の平均値と中央値はそれぞれ、2735±1719 ng/ml、2218 ng/mlで、最高値は9448 ng/mlであった。S100A12とC3a分解産物の血清濃度のピアソンの相関係数は0.4805で、p値は0.0001以下であった。コホート研究のベースライン調査で実施された生化学検査結果(ALP、LDH、総コレステロール値、HDLコレステロール値、白血球数、血糖値)との相関を解析したところ、S100A12濃度と白血球数と相関(相関係数;0.4045、p値<0.0001)を認めた。今回の測定では、S100A12の値は安定していたが、C3a分解産物の値のばらつきが目立った。検体の凍結融解などの影響も見過ごせない。今後、1000症例まで測定し、脳卒中、心筋梗塞の発症例、危険因子との関連を解析する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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10.1016/j.psychores.2012.05.013