研究概要 |
本研究では、肥満傾向児の割合の高い地域(県北地域)と全国平均に近い地域(県中央地域)を対象とし、小児肥満に結びつく具体的な要因を明らかにすることを目的として、小学4年生の身体測定値のデータ収集と児童とその保護者に健康・生活習慣と食習慣に関するアンケート調査を実施した。平成22年度はパイロットスタディを行い、平成23年度は県北地域47校、県中央地域28校を対象として児童、保護者に同様の調査を実施し、児童2,218名(男子1,101名、女子1,117名)、保護者2,157名から回答を得た。肥満度は、県北地域では肥満者の割合が11.5%、県中央地域では7.2%(男子:県北地域11.2%、県中央地域7.3%、女子:県北地域11.9%、県中央地域7.2%)であり大きな地域差がみられた。児童のアンケート調査の結果から、肥満割合の高い県北地域の児童は、肥満の少ない県中央地域と比して、生活習慣では、通学手段として車やバス利用が多い、勉強時間が短い、相談相手がいないこと、食習慣では、給食の残食が多い、おやつをあまり摂取しない、野菜摂取量が少ないこと、また、生活習慣病については知っているが、メタボリックシンドロームについての知識がないことが分かった。保護者のアンケート調査の結果からは、県北地域で栄養を考えた献立にしていない、保護者自身の健康感があまりよくない傾向がみられた。さらに、両地域の児童を肥満の有無で分けて解析した結果、肥満関連要因として、給食を完食する、早食いであることがあげられたが、一方でおやつをあまり摂取しない、外食を好まないという負の関連がみられた。肥満児童は自分の体型を認識しており、健康について考える傾向がみられることから、肥満は早期介入によって防ぐことが可能であると考えられた。今後はこれらの結果を踏まえ、肥満改善を主とした食・生活習慣改善プログラムの作成に取り組む予定である。
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