本研究はがんに関する知識とその発症予防行動を、医療情報、生活環境、周囲とのコミュニケーション、社会的ネットワーク、精神的満足度、主観的健康感を含めたヘルスコミュニケーションという視点から捉え、それらのかかわりを調査、分析し、今後のがんに関する知識の普及や、がん検診、がん予防の生活習慣普及の為に効果的な方策を考察するものである。平成22年~平成23年度までは本研究のアウトカムであるがん予防行動とがんに関する知識について、また説明変数としての医療情報源、経済的ゆとり、学歴及び社会的ネットワークの有無、家族構成や周囲とのコミュニケーション、雇用形態についての各アンケート質問内容を決定した。次に、この調査を行う為に神奈川県横浜市と栃木県小山市当局に協力を求め、市担当者により各々3000名、計6000名をランダム抽出した。抽出にあたり、各市共に地域別に年代別人口比率を調査し、日本の年代別人口比率に最も類似した区、及び地域を選び、日本の年代別比率にあわせてランダム抽出を行いアンケートを送付した。回収率は各々約30パーセントであった。十分な回収率を得た為、アンケート再送付は施行せず、データを入力し統計解析を行い、全体像についてのデモグラフィックを横浜市に報告した。 第一次段階の解析では主観的気分の落ち込みは主観的な経済満足度が良い場合、オッズ比が低くなり、非喫煙、運動、野菜摂取など、がん予防行動のオッズ比は上昇した。平成23~24年度は解析を終了し、経済的ゆとりと精神的満足度のかかわりについては、平成23年日本ストレス学会にて発表、経済的ゆとり、生活環境格差とがん予防行動の関わりについては、平成24年日本人間ドック学会で発表を行ない論文を作成、投稿した。
|