研究概要 |
本研究の目的は、職域のソーシャルキャピタルが抑うつや循環器疾患危険因子などの労働者の健康状態や疾病休業におよぼす影響について明らかにすることである。初年度である平成22年度は主に1)ソーシャルキャピタルと抑うつや職業性ストレスに関する質問紙によるデータ(コホートのベースラインデータ)の収集、2)ソーシャルキャピタルと動脈硬化関連指標との関連の検討を目的とした健康診断データの収集を行った。1)では計12事業場より2,415名のデータを収集した。検討の結果、個人レベルのソーシャルキャピタルは、性、年齢、職業性ストレス要因を調整してもなお、抑うつと関連していることが明らかとなった。またソーシャルキャピタルは、抑うつ以外のネガティブな心理的ストレス反応である不安感、イライラ感、疲労感、およびポジティブなストレス反応である活気に対しても同様に有意な関連があった。現在このデータベースを用い、多重レベル分析に着手し部署レベルのソーシャルキャピタルの関与について検討を行っている。2)では1事業場で同意の得られた335名について、個人レベルのソーシャルキャピタル、労働時間、バイタルエグゾースチョン尺度による疲弊度と肥満度や血中脂質、高感度CRP、フィブリノゲンとの関連の検討を行っている。
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