研究概要 |
データマイニングの前提となるデータマートには2004年3月末時点で約2000万件の糖尿病関連医療情報を収集した。 このデータマートを用いて、75gOGTTおよび食事負荷試験の詳細な解析については、英文1篇(Takai T, Sakura H, et al. Diabetol Int, 2012)を発表し、もう1篇(Kanno H, Sakura H)を投稿中である。シタグリプチンの改善群と非改善群の比較は学会発表した(飛田杏子、佐倉宏他)。 入院患者の5年後の合併症の予測因子の検討に関しては予後調査がほぼ終了し、データマイニング手法を用いた解析を行った後に、1年以内に論文が投稿できると思われる(研究協力者が休職したため、当初の計画より遅れた)。また、以前に論文発表(Sakura H, et al. Diabetes Res Clin Pract 88: 65-70, 2010)した季節変動コホート2,511名についても予後調査を行いほぼ終了しているので、データマイニング解析を行った後に論文化する予定である。 現在までに得られた結果からは、データマイニング手法を用いると、従来の多変量解析(ロジスティック回帰分析、重回帰分析)に比べて、患者予後に関する予測が向上することが示された。これは、患者背景因子と予後の間には線形関係などの単純な関係を超えた複雑な関係が存在するので、従来の解析方法では限界があるためだと考えられる。ただし、データマイニング手法は方法論がまだ確立されていないので、臨床疫学の重要な手法をして位置付けられるためには、今後きちんとした体系構築が必要である。
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