研究課題/領域番号 |
22590613
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
菊地 正悟 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40224901)
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研究分担者 |
福田 能啓 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60148640)
奥田 真珠美 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40531091)
神谷 茂 杏林大学, 医学部, 教授 (10177587)
大崎 敬子 杏林大学, 医学部, 講師 (90255406)
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キーワード | Helicobacter pylori / 小児 / 有病率 / 羅患率 / 感染源 / 家族内感染 / 便中抗原 / random amplified polymorphic DNA-fingerprint |
研究概要 |
昨年度に引き続き、兵庫県篠山市の小児の便中抗原陽性率を、対象を小学校6年生までに広げて測定し、昨年も検査を受けた小児については、1年間での感染状況の変化も検討した。 【方法】協力の得られた16施設(7小学校、6幼稚園、3保育園・こども園:平成22年度と同じ)に研究への参加を依頼し便を収集した。便中抗原測定は昨年度と同様にテストメイトピロリ抗原EIA(わかもと製薬)を用いた。 【結果】対象者1909名のうち835名(43.7%)が便を提出し、陽性率は0歳0/6、1歳0/26、2歳1/34、3歳1/44、4歳0/104、5歳1/115(0.9%)、小学校1年生4/120(3.3%)、2年生1/71(1.4%)、3年生1/100(1%)、4年生1/69(1.5%)、5年生4/82(4.9%)、6年生1/64(1.6%)で全体では15/835(1.8%)であった。平成22年度、23年度ともに便を提出したのは439名(2010年度陽性8名、陰性431名)であったが、感染状況が変化したものはなかった。 【考察】H23年度の篠山市の小児におけるH.pylori感染率は、小学校6年生まで対象を広げても、昨年度と同様に低い陽性率であった。また、1年間のうちに新たに感染した例はなく、陽性であった8例の中で陰転した例もなかった。これまでの報告で5歳以降の新規感染は希であること、今回新規感染を認めなかったことから、わが国の感染率は将来成人でも低くなることが予想される。平成22年度の結果では、同胞が2人以上陽性であった例はなく、同胞間感染は否定的であった。23年度の結果については、レコードリンケージを実施中で、24年度前半に結果がでる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
陽性児、陰性児の一部家族に提供を依頼した便検体の検査結果の測定が平成23年度末となった関係で、背景データとのリンケージが24年度にずれ込んだ他は、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
・H23年度に陽性児、陰性児の一部家族に提供を依頼した便検体のデータの整理、解析を進める。 ・便中Helicobacter pylori DNAを抽出してrandom amplified polymorphic DNA-fingerprint解析を行い、誰と誰が同じ起源のH.pyloriをもっているかを明らかにしてH.pylori陽性の小児の感染源を推定する作業を進めている。検体の収集はすべて終了したので、背景情報に基づいて整理した上で効率的に作業を進める。 ・協力を得た、市役所、市民、地元医師会などに、本研究の結果を報告し、今後の対策について協議を進める。
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