研究概要 |
ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)は、心理社会的・経済的に問題を抱えている対象者および社会的排除状態に置かれている対象者を援助するという業務内容や、虐待(児童・高齢者)問題への緊急対応を迫られるなど、勤務環境要因が複雑である職場に身を置いている。対人援助専門職として,自身の適切なストレスコーピング(ストレス対処)の必要性を知り、学生時分からメンタルヘルス管理およびストレスについて相応の対応能力を有する必要がある。メンタルヘルスのセルフケアにおいて、職場ストレスが高血圧など循環器疾患のリスクを上昇させる可能性と、適切なストレス対処行動が心身への悪影響を減少させる可能性を申請者らは報告してきた。しかしながら学生のストレス対応能力の向上にどのような因子が関連しているかについての報告はこれまでほとんどない。近年、食事・運動を始めとする生活習慣が将来のうつを予防する可能性や、朝食を規則正しく摂る等の食行動と週1回以上の運動が自覚的ストレスやうつ症状の減少と強く関連する可能性を報告した。そこで申請者らは、学生の生活習慣の質および食行動を含む生活習慣が、ストレス対応能力の高低と関連があるという仮説を立てた。本研究は2つの研究から成る。 (1) H22年度入学生を対象に、食行動を含む生活習慣アンケート調査とSOC(ストレス対処力)・UPI.POMSといった心身状態を評価する質問票調査を実施した。ストレス対処力と生活習慣との関連を探索した。 (2) H22年度ソーシャルワーク実習におけるストレス暴露とその要因の検討:3年次夏季(社会福祉士)3年次春および4年次夏季(精神保健福祉士)での4週間に亘る学外実習期間前後のストレスを測定し程度を把握した。実習前後には(1)と同様の生活習慣アンケート調査および心理評価質問票調査を実施した。
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