平成16年4月1日に国保被保険者であった基本健康診査受診者を対象に、平成16年4月1日から平成21年3月31日までの5年間もしくは平成16年4月1日以降最初の国保資格喪失までの医療費の合計を検討した。平成16年の総合判定結果を、1:異常なしまたはほぼ正常、2:要観察または要精密、3:要受診、4:治療中または管理中の4カテゴリに集約して一人あたり医療費を求めた。途中で資格喪失が生じた場合でも、便宜上平成16年の総合判定結果の各カテゴリの人数を分母として一人あたり医療費を算出した。 男女とも、医科・外来は1:異常なしまたはほぼ正常、2:要観察または要精密、3:要受診、4:治療中または管理中の順に一人あたり医療費が増加していた。しかし、いずれのカテゴリも男性より女性は一人当たり医療費は低くなっていた。要観察または要精密の男女比は1.46倍であったが、それ以外のカテゴリでは1.81-2.05倍と2倍程度の差が認められた。入院及び医科と調剤の合計についても同様に健康診査の結果に応じて医療費が増大していた。 また、医療費及び介護費用に強く関連する長期入院もしくは入所について、家族構成と入院もしくは入所の関連を検討した。具体的には、平成20年4月1日時点に満65歳以上で要介護認定の結果が要介護1~5とされた303人の中で調査に同意の得られた286名を対象に平成20年4月1日から平成21年3月31日までに90日以上の入院もしくは入所の有無と年齢、家族構成、要介護度、要介護の原因疾患の関連を多重ロジスティックモデルで検討した。息子との同居と比較した場合に娘との同居が入院もしくは入所する場合のオッズ比(95%信頼区間)は0.35 (0.13-0.93)と統計学的に有意であり、要介護度等を調整した後も家族構成によって要介護者の入院もしくは入所状況が影響されることが明らかになった。
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