研究課題/領域番号 |
22590618
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
久保 達彦 産業医科大学, 医学部, 講師 (00446121)
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研究分担者 |
藤野 善久 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80352326)
林田 賢史 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (80363050)
松田 晋哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (50181730)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 産業医学 / 時間生物学 / 交替制勤務 / 生活習慣病 / 前立腺がん / 体内時計 / 健康保険組合 / レセプト |
研究概要 |
交替制勤務は生産効率や社会福祉サービスの向上等を目的として幅広い産業分野において採用されており、本邦では労働者の17.9%が深夜業を含む交替制勤務あるいは深夜業に従事していると報告されている。本研究の目的は交替制勤務従事に伴う生活習慣病リスクについて、悪性腫瘍リスクを含めて日本企業が保有する健康データ(定期健康診断結果及び健康保険組合が保有するレセプトデータ等)を利用して質の高い疫学的評価を実施することである。研究では5年間の労働者健康状態の追跡を行う計画で、追跡期間3年目にあたる本年も計画に則り調査を継続している。今年度の学術成果として6件の演題として学会発表された。そのうち4件がoral presentation、3件が招待講演であった。また1報の原著論文が産業衛生学分野の権威ある国際専門誌に掲載された。この原著論文では交替制勤務者における耐糖能異常症(糖尿病)リスクが検討され、まず日勤者として交替制勤務者には有意な耐糖尿異常症リスクが存在することが生存曲線により視覚的に示された。また興味深いことに二交代勤務者は三交代勤務者よりも有意にリスクが高かった。二交代は三交代よりも連続する夜勤の時間が長いために睡眠障害(睡眠障害は糖尿病のリスク因子である)が発生しやすいことがこのリスクの差につながっている可能性が考えられた。また、今回得られた極めて重要な知見として、肥満症が発生していない標準体重を維持している交替制勤務者においても耐糖尿異常症リスクが上昇していることが判明した。産業保健職は肥満症を呈していない交替制勤務者においても耐糖尿異常症リスクが上昇していることに留意して健康管理にあたるべきであると考えられた。次年度以降も引き続き研究者と研究対象である研究協力企業との信頼関係を維持、発展させて追跡調査を継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通りに研究者と研究対象である研究協力企業との信頼関係に基づいてコホートの追跡調査研究が実施されているため。また今年度までに得られた成果が産業衛生分野の権威ある国際専門誌に原著論文として掲載されれており、学会報告も順調に実施されているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更はない。引き続き当初計画に基づき悪性腫瘍リスクを含む交替制勤務者の疾病リスクに関する質の高い疫学的エビデンスを日本人を対象として得ることを目的に研究を推進していく。
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