1.タイと日本のブタ便から検出されたブタコブウイルスのVP1領域の解析を行った。系統樹解析の結果、5つのlineageに分別可能で、従来報告されている株に比べてこれらの株は多様性に富んでいた。タイの健康なブタの血清中にブタコブウイルスは17%の頻度で検出された。 2.2007-2010年の日本の小児下痢症患者便中にノロウイルスは27.4%検出された。最も多いgenotypeはGII.4でその中でもGII.4/2006bが大勢を占めた。2009-2010には2008aも検出された。GII.6/GII.14の組換え株が見られた。ロタウイルスの検出率は13.1%であった。血清型は初めの2年間ではG1P[8]が多く(62.8%)、2009-2010ではG3P[8]が最頻出株となった。日本の小児の下痢便で最も一般的なウイルスはノロウイルスGII.4といえる。 3.2009-2010年の便検体を用いてノロウイルスを市販のイムノクロマト(IC)キットで検出した。IP-NoVキットは最近の流行株(GII.4/2006bと2008a)も検出可能で、感度、特異性、一致率も高かった。 4.下痢症ウイルス10種類を度に検出可能なmultiplex PCR法を開発した。以前から用いていた3セットの方法に比べ検出率があがり、有用であった。 5.2007年のタイの小児下痢症患者便よりSaffold cardiovirusを検出した。検出率は2.7%で2検体はSAFV1、2検体はSAFV2に属していた。 6.2009年の日本の小児下痢症患者便を用いて、3種類のロタウイルスICキットの検定を行った。どのキットも迅速診断法として集団感染時に有用である。 7.2007年の日本の小児下痢症患者便を用いて、アストロウイルスICキットの検定を行った。使用検体はすべてgenotype 1に属しており、迅速診断法として使用可能である。
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