研究課題/領域番号 |
22590624
|
研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
梶村 計志 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (40250336)
|
研究分担者 |
土井 崇広 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 研究員 (90516767)
|
キーワード | 香粧品 / 防腐剤 / ホルムアルデヒド / クオタニウム-15 / ジアゾリジニルウレア / 分解物 |
研究概要 |
ホルムアルデヒド(FA)ドナー型防腐剤は、接触性皮膚炎を引き起こすことが示唆されているが、活性本体については、不明である。これまでの我々の検討から、ドナー型防腐剤は、水系の溶解液中で速やかに分解し、FAを遊離することが示されている。ドナー型防腐剤の分解挙動を解明し、分解物の活性について検討することは、極めて重要である。今年度は、欧米で使用される主なドナー型防腐剤を対象とし、遊離するFAの挙動および分解物について、詳細な検討を行った。 1)クオタニウム-15(QN)の分解と遊離するFAの挙動に関する検討 QNが配合された化粧品中におけるFAおよびQN含量を測定した。全ての化粧品からFAが検出され、その濃度は、106.4~493.5ppmであった。一方QNは、全ての化粧品から検出されなかった。 QNの分解に伴うFAの遊離について検討した。0.3w/v%水溶液を調製し、25℃の恒温庫で50日間保存したところ、FA含量は350ppmに達した。一方QN含量は経時的に減少し、保存50日後には、検出限界以下になった。HPLCによる分析から、FA以外のQN分解物が保存溶液中に存在し、その含量が経時的に増加することが確認された。 2)ジアゾリジニルウレア(DU)の分解物の単離と構造決定に関する検討 化粧品中におけるDUの分解挙動について検討したところ、4種類の分解物の存在が明らかとなった。LC-MSおよび1H-NMRによる解析から、合計で90%以上のピーク面積を占める2本については (4-hydoroxymethyl-2,5-dioxo-imidazolidine-4-yl)-urea(MW188)および(3,4-bis-hydoroxymethyl-2,5-dioxo-imidazolidine-4-yl)-urea(MW218)であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度までに、予定されていた全てのホルムアルデヒド(FA)ドナー型防腐剤を対象として、遊離するFAの挙動に関する検討を行うことができた。さらに、幾つかの防腐剤については分解物を同定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、3年計画のまとめとして、ホルムアルデヒド(FA)ドナー型防腐剤が配合された香粧品の健康リスク評価を試みる。
|