研究概要 |
平成22年度では、肥満と関連している食行動と糖尿病発症との関連についてコホートデザインにより検討した。対象者は2003~2006年度の循環器健診時に食事歴法質問票による食事調査を実施し、当時糖尿病ではなかった30-69歳の男女2,840名(男性890名、女性1,950名)を対象とした。検討した食行動は、「食べる速さ」、「おなかいっぱいまで食べる」、「朝食摂取」、「就寝前摂食」の4項目で、これら食行動に該当する個数と糖尿病発症との関連を、多変量調整Cox比例ハザードモデルにより分析した。2009年までの約7年間の追跡調査で、155名(男性70名、女性85名)が糖尿病を発症した。どの食行動にも該当しない者を比較対象として、該当する食行動が1個、2個、3個以上のそれぞれについて多変量調整ハザード比(95%信頼区間)を計算した結果、男性では2.35(1.06-5.19)、1.54(0.65-3.63)、3.24(1.29-8.13)でp for trend=0.09であった。女性では、0.92(0.52-1.62)、0.67(0.35-1.30)、1.97(0.92-4.22)でp for trend=0.67であった。本検討の結果は、肥満と関連している食行動を数多く有している男性では、将来の糖尿病発症の危険性が高いことを示唆するものである。当該年度では、わが国において、増加傾向にある糖尿病に着目して、食行動との関連を検討した。本研究の結果は、食行動と糖尿病についての因果関係を示唆するものであり、糖尿病予防のためには食行動の累積に留意する必要性を示している。今後、身体活動、睡眠等他のライフスタイルとの交互作用について考慮しながら、他疾病との関連についても言及していく予定である。
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