研究課題/領域番号 |
22590635
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
劉 金耀 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60379956)
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研究分担者 |
藤宮 龍也 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50219044)
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キーワード | アルコール / 心臓性突然死 / 心筋ギャップ結合リモデリング / 心筋線維化 / 交感神経活性化 |
研究概要 |
【研究の意義】 ギャップ結合リモデリングを介し興奮伝播の不均一性および再分極過程の遅延は、不整脈の発生・維持と関与することが考えられる。先行研究の結果によりアルコール関連死は交感神経活性化と関与したが、アルコール関連死における心筋線維形成・ギャップ結合リモデリングの変化について不明である。これらの不明点を明らかにし、これまでの研究成果を発展させる。 【研究の内容】 アルコール含有液体飼料を使用し、対照群、慢性アルコール持続投与群、慢性アルコール持続投与+断酒1日および慢性アルコール持続投与+Carvedilol前投与+断酒1日群の4群のラット実験モデルを作成した;左心室組織を用いて、疫組織染色・電気泳動およびPCRを行い、組織細胞生物学・蛋白質および遺伝子レベルにおける心筋線維形成(マーカー:α-SMA)・心筋ギャップ結合蛋白質(Cx43)を定量評価した。 【研究の結果】 心筋線維形成:慢性アルコール投与ラットでは、急性離脱期にα-SMA陽性細胞と遺伝子発現量の増加はみられ、これらの増加はCarvedilol前投与により改善された。 心筋ギャップ結合リモデリング:慢性アルコール持続投与後急性離脱際にtotalCx43、リン酸化Cx43蛋白質発現量およびtotal Cx43のmRNA発現量の減少を認め、急性離脱際における心室性頻脈の病態形成への関与が示唆された。また、total Cx43およびリン酸化Cx43発現量の変動は交感神経活性化を介して減少し、carvedilol前投与により抑制された。 【研究の重要性】 慢性アルコール持続投与後急性離脱際には、交感神経活性化を介して心筋線維形成の増加および心筋ギャップ結合リモデリングが引き起こされ、不整脈のリスクが高まる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋ギャップ結合機能異常・心筋線維形成および交感神経活性化は、アルコール関連死との関連に関する研究目的について研究計画に準じて研究を実行した。研究結果として「アルコール性心筋線維化と交感神経活性化との関連」および「心筋細胞ギャップ結合リモデリングとアルコール関連死」を学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成24年度)に研究計画に準じて実験動物の数を増やし、電気泳動およびRT-PCRを用いてラットにおけるギャップ結合機能を反映するコネキシン(Cx-43)の蛋白質および遺伝子の変化を定量評価する。同時に血液および心筋蛋白質を用いてELISA法で全身および心臓局所的なノルアドレナリン濃度を測定し交感神経活性化を介する心筋ギャップ結合リモデリングとアルコール関連死との関連について研究することが本研究課題の今後の推進方策となる。
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