研究課題/領域番号 |
22590636
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
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キーワード | Neurotrophic factor / Ethanol / Acetaldehyde / Knockout mice / Memory |
研究概要 |
Memory deficits following acute ethanol exposure in mice models アルコール摂取による酪酊が記憶や認知機能に影響することは動物やヒトでよく知られている。飲酒による記憶への影響については、記憶を増強させるとする報告は極めて少なく、多くは記憶を低下させるとする報告が多い。この研究期間では、Aldh2ノックアウトマウス(Aldh2-/-)およびApoEノックアウトマウス(ApoE-/-)を用い、エタノール投与後の脳の海馬におけるc-fos、brain-derived neurotrophic (BDN) factorおよびnerve growth factor (NGF)のm-RNAの発現について検討した。 材料と方法 Aldh2-/-、ApoE-/-およびwild type (WT)マウスを用いた。エタノール(20%w/v)投与量は0.5、1.0および2.0g/kg,20%,w/v)の3群で行い、EtOH投与後30分に断頭し、海馬を採取後m-RNAを抽出し、real-time PCE法により各m-RNAの発現を測定した。 結果と考察 エタノール0.5、1.0g/kg投与では、c-fosのm-RNAの発現誘導はAldh2-/-マウスでのみ認められ、2.0g/kg投与ではマウスの系統によるm-RNAの発現誘導には差を認めなかった。エタノールの代謝産物アセトアルデヒドがc-fosのm-RNA発現を誘導している可能性が示唆されるが、高濃度アセトアルデヒドではその発現誘導を認めず、アセトアルデヒドによる発現誘導は単純な濃度依存性でないことを示唆している。一方、BDNおよびNGFのm-RNA発現では、エタノールの各投与量、各マウスの系統間において差を認めず、アセトアルデヒドはBDNおよびNGFのm-RNAの発現誘導には影響しないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Aldh2-/-、ApoE ApoE-/-の各ノックアウトマウスおよび野生型マウスを用い、記憶や空間認識に対するエタノールおよびその代謝産物による影響について検討し、アゼトアルデヒドが行動学的に影響することを明らかにした。そのメカニズムを分子生物学的手法で解明するために、記憶に関与する各種神経栄養因子のm-RNAの発現誘導について検討をしており、一定の成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
記憶や空間認識に対するエタノールおよびその代謝産物アセトアルデヒドによる影響について、Aldh2-/-、ApoE ApoE-/-の各ノックアウトマウスおよび野生型マウスを用いて、Reference memory法とWorking memory法で長期、短期記憶への影響を検討する。 また、これらと関与する海馬、大脳皮質のセロトニンレセプターm-RNA発現への影響について検討を行う。
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