研究課題/領域番号 |
22590642
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
前田 均 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20135049)
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研究分担者 |
石川 隆紀 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50381984)
道上 知美 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00529240)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 法医学 / 外傷性ショック / 全身性炎症反応症候群 / 病態生化学 / 分子生物学 |
研究概要 |
法医剖検診断の精度向上および剖検所見と臨床病像の相互評価を目的として、剖検例について系統的検査を行った。そのうえで外傷後の低酸素・虚血性臓器組織障害と炎症反応に関する多角的検査データを総合的に分析し、外傷性ショックと全身性炎症反応症候群(SIRS)の暫定的剖検診断基準を以下のように策定した。1)急性外傷性ショック(重度外傷=直接的死因):致死的重度外傷が明らかで、血液・生化学的変化に乏しい。2)亜急性外傷性ショック:重度外傷または多発中等度外傷後の出血による貧血や低蛋白・低アルブミン血症などがみられるが、炎症反応や低酸素症の生化学指標の変動は顕著ではない。3)遷延性外傷性ショック:重度外傷後の救命救急医療処置による生命維持または多発中等度外傷後の自然経過による貧血や低蛋白・低アルブミン血症の重症化に加えて炎症・免疫反応、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、その他の多臓器障害や低酸素症の生化学指標の変動が顕著となり、臨床上のSIRSに該当する所見がみられる。具体的には、血中のC反応性タンパク、ネオプテリン、肺サーファクタントやエリスロポエチンが高値となり、肝・腎障害などを伴ってくる。4)敗血症:上記のSIRSの所見に加えて血液中に細菌(主として腸内細菌類)が証明されるか、エンドトキシンが高値を示す。上記所見のうち、SIRSとARDSの病像は病理組織検査で補強される。現在、各血液・生化学指標の剖検基準値の再評価を行いつつある。一方、外傷性侵襲後の主要臓器組織における低酸素・虚血性変化や心・循環・呼吸・中枢神経系機能障害の動的変化の分子生物学分析法を確立するため、免疫組織化学とRT-PCRによる遺伝子発現分析法を用いて、心筋内のナトリウム利尿ペプチドおよび肺・脳の細胞間質構成成分や水分バランス調整因子の変動と死因の関連を検索した結果、生存期間に伴って各外傷に特徴的な変動がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にしたがって、1)剖検例の分析すなわち精密病理組織検査、免疫組織化学検査、生化学検査および分子生物学検査並びに剖検データ・諸検査結果の総合的・包括的分析と評価を行い、2)外傷性ショックおよび全身性炎症反応症候群の暫定的剖検診断基準を策定し、3)その再評価に取りかかることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にしたがって、今後も引き続いて剖検例の分析を行うとともに、外傷性ショックおよび全身性炎症反応症候群の暫定的剖検診断基準を剖検例に適用して再評価と修正を行い、剖検所見と臨床病像との間の相互評価の基盤となりうる剖検診断基準の確立をめざす。そのため、特に剖検例の分析に重点をおく。現在のところ、研究計画の変更や研究遂行上の問題点はない。
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