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2011 年度 実績報告書

剖検中に判定可能な中毒原因物質の迅速測定法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22590645
研究機関科学警察研究所

研究代表者

井上 博之  科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (40159992)

キーワード社会医学 / 分析科学 / 法中毒学 / 質量分析 / 薬毒物 / スクリーニング / 血液 / 違法薬物
研究概要

薬毒物検査は、法医解剖における死因究明の一環として極めて重要である。本研究では、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等を連結しない、直接導入型の質量分析計を用い、生体試料をそのまま、あるいは簡単な前処理のみで測定する手法の確立を行う。
本年度は、固相抽出法を用いた血漿試料からの医薬品の抽出法を検討した。薬物添加尿1mLを固相抽出カートリッジ(Oasis HLB、1cc/30mg、メタノール及び蒸留水にて活性化)に注入し、5%メタノール1mLでカートリッジを洗浄後、メタノール1mLで薬物を溶出した。溶出液の一部をLC/MS分析し、各薬物の回収率を求めた。塩基性医薬品(クロルプロマジン、プロメタジン、レボメプロマジン及びジフェンヒドラミン)の回収率は低濃度(0.5μg/mL)で65%~96%、高濃度(10μg/mL)で72%~105%、中・酸性医薬品(フェノバルビタール、ペントバルビタール、プロムワレリル尿素及びアセトアミノフェン)の回収率は低濃度(0.5μg/mL)で75%~100%、高濃度(10μg/mL)で94%~99%であった。また、違法薬物(メタンフェタミン、アンフェタミン、MDMA及びMDA)についても同様に検討したところ、低濃度でのMDA(58%)を除き、良好な回収率であった(84%~96%)。Oasis HLBを用いた固相抽出は、塩基性医薬品、中・酸性医薬品及びアンフェタミン類を単一メソッドで効果的に抽出可能であり、本スクリーニングの前処理法として利用可能と考えられた。また、直接導入型質量分析計として日立DS-1000を用い、薬毒物の標準溶液をシングルモードMS及びMS/MSモードにて測定、スペクトルデータを取得し、ライブラリー構築に着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎的な条件検討(生体試料の前処理法の最適化及び装置の各種パラメータの最適化)がほぼ終了し、対象薬毒物の範囲を広げる段階に入っている。

今後の研究の推進方策

直接導入型質量分析計として日立DS-1000を用い、本年度以下に示す実験を行う。
1 最適化された固相抽出法を用い、未検討の薬毒物について生体試料からの回収率を測定する。
2 対象薬毒物の標準溶液を用い、シングルMSモード及びMS/MSモードにて測定する。薬毒物スペクトルデータを取得し、ライブラリーを構築する。
3 血液、尿試料に各種薬毒物を添加し、本法により測定し、中毒原因物質の迅速測定法(スクリーニング法)としての有用性を検証する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Analysis of amphetamines and ephedrines in urine using solid phase extraction and direct mass spectrometry2011

    • 著者名/発表者名
      Inoue, H., et al
    • 学会等名
      2011 SOFT-TIAFT(米国法中毒学会-国際法中毒学会合同会議)
    • 発表場所
      サンフランシスコマリオットマルキスホテル
    • 年月日
      2011-09-28
  • [学会発表] Forensic toxicology-Detection and profiling of drugs and poison-2011

    • 著者名/発表者名
      Inoue, H
    • 学会等名
      国際犯罪学会第16回世界大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      2011-08-06
  • [学会発表] Direct analysis of illicit drugs by thermal desorption counter-flow introduction atmospheric pressure chemical ionization mass spectrometry2011

    • 著者名/発表者名
      Inoue, H., et al
    • 学会等名
      IUPAC2011国際分析科学会議(ICAS2011)
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2011-05-25

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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