感冒はプライマリ・ケア領域で最も頻繁にみられる疾患のひとつであるが、その治療や予防の方法については確立されていない部分も多い。葛根湯は我が国で最も頻繁に使用されている感冒薬のひとつであり、経験的に感冒の初期に有用であるとされるが、実地臨床のセッティングでその有効性を検証した研究はこれまで行われていない。よって我々は、初期感冒患者に対する葛根湯の投与は重症化を抑制するかどうか、症状は緩和するものの抗炎症作用を持たない総合感冒薬を対照として検討している。 先進国成人は平均して一年に2~3回感冒に罹患し、職場からの離脱の約40%は感冒によることより、公衆衛生的見地に立った場合、その治療法・予防法に関するエビデンスの蓄積が与える影響は甚大である。 平成22年度はプロトコルをはじめ、冊子型自記式質問票(かぜ日記)やリクルート用ポスターなど実施に具体的に必要となる資料を作成し、倫理委員会に申請し承認を得た。メーリングリストにて研究実施医療機関を募り決定した。10月から患者登録を開始しデータ収集を行った。 平成23年4月現在、未だ目標症例数に到達していないため、平成24年度も症例の集積を継続する。よってデータの解析はまだ行っていない。
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