感冒はプライマリ・ケア領域で最も頻繁にみられる疾患のひとつであるが、その治療法及び予防法については確立されていない部分も多い。葛根湯は我が国で最も頻繁に使用されている感冒薬のひとつであり、経験的に感冒の初期に有用であるとされる。しかし実地臨床のセッティングで、その有効性を検証した研究はこれまで行われていない。よって我々は、初期感冒患者に対する葛根湯の投与は重症化を抑制するかどうか、症状は緩和するものの抗炎症作用を持たない総合感冒薬を対照として、全国のプライマリ・ケア医と協力して検討した。 平成22年度はプロトコルを作成し、倫理委員会での了承を得た。また冊子型自記式質問票(かぜ日記)やリクルート用ポスターなど、実施に具体的に必要となる資料を作成した。さらに研究実施医療機関を募り、10月より患者を登録しデータ収集を開始した。患者登録、データ収集は平成23年6月まで継続し、最終的には410人の対象者を登録した。平成23年度は収集したデータのクリーニングと表計算ソフトへの入力を行い、統計解析を開始した。平成24年度は統計解析をさらに進め、論文を執筆、完成し、現在専門誌に投稿中である。
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