研究概要 |
本研究の目的は、鍼刺激による骨格筋幹細胞の増殖効果を医療へ利用する治療法の開発である。今年度は、p70S6Kシグナル伝達系のリアルタイムPCR解析を行うと共に、確立したウエスタンブロッティングによるミオスタチン(Mstn)評価系で解析した。加えてウエスタンブロッティングによるシグナル伝達系解析を可能にすべく、評価系確立に取り組んだ。また、フェムト秒レーザー鍼の効果についても解析を継続した。 まず、13日間後肢懸垂した骨格筋萎縮マウスモデルの骨格筋を用いて、MstnについてリアルタイムPCRとウエスタンブロッティング解析を行った。その結果、鍼通電刺激でMstnのmRNA量とタンパク質量が同様に減少していた。次に、筋萎縮を制御しているユビキチンリガーゼのMuRF-1、MAFbx、Cbl-bを対象に行ったリアルタイムPCR解析結果から、p70S6Kシグナル伝達系の関与が考えられた。そこで、p70S6Kシグナル伝達系のp70S6K とmTORのリン酸化抗体と非リン酸化抗体を用い、ウエスタンブロッティング解析系の確立に取り組み、p70S6Kは解析系を確立しmTORは実験条件を検討中である。 最後に、フェムト秒レーザー鍼の効果の評価をMstnのウエスタンブロッティング解析で行った。その結果、フェムト秒レーザー刺激においても鍼通電刺激の場合と同様にMstnのタンパク質量が低下しており、その有効性を確認した。 なお、このフェムト秒レーザー鍼については2012年12月27日に米国特許が成立した(No. US8,317,847 B2)。また日本温泉気候物理医学会雑誌74巻2号に掲載された本研究成果の一つでる原著論文は、2012年6月8日に第17回日本温泉気候物理医学会優秀論文賞を受賞した。
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