研究概要 |
脳梗塞発症後のADL低下促進因子・阻害因子を明らかにするため,急性期に入院を必要とした脳梗塞と一過性脳虚血発作を対象とし,大学病院を事務局として各地域の基幹3病院(鳥取県立中央病院,山陰労災病院,松江赤十字病院)とhospital-basedで登録式追跡調査を開始した. 調査開始にあたり,個人情報保護と連結した追跡調査が可能であることを念頭においた登録システムを検討した.当初は,複写式の登録用紙を用いたスキャン入力と,セキュリティを高めたサーバを事務局に設置しweb経由で入力する2種類の方法を用意する方針であったが,各病院が電子カルテ運用に完全移行したことや,インターネットへの接続環境が異なることなどを踏まえて,各病院で患者登録(コンピューター入力)をした後,個人情報をはずした内容のみを事務局で統合するシステム(プログラム)を準備した.運用に関係する意見調整を進めながら,試験運用期間を経て本運用を開始した. 先行して登録運用を開始した大学病院単独では,2010年度に148例の対象症例があり,現在126例(男性75例,女性51例)の登録を完了した.脳梗塞臨床病型別には,心原性脳塞栓症32例,アテローマ血栓性脳梗塞42例,ラクナ梗塞18例,一過性脳虚血発作(画像で異常所見なし)4例,その他28例であった. 4病院で新規の登録を継続するとともに,登録した症例は,今後1年ごとにADLを中心とした追跡調査を行い,集計して統計学的解析を行うとともに,さらにバイオマーカーによる予測因子の検討を進め,健康管理対策や社会資源の利用法に関する考察を行っていく.
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