研究概要 |
脳梗塞発症後のADL低下促進因子・阻害因子を明らかにするため,急性期に入院を必要とした脳梗塞と一過性脳虚血発作を対象とし,大学病院を事務局として各地域の基幹3病院(鳥取県立中央病院,山陰労災病院,松江赤十字病院)とhospital-basedで登録式追跡調査を継続した. 調査開始にあたり,個人情報保護と連結した追跡調査が可能であることを念頭においた登録システムとして,各病院で患者登録(コンピューター入力)をした後,個人情報をはずした内容のみを事務局で統合するシステム(プログラム)を作成し,運用中である. 2012年度末には,大学病院および基幹3病院から1,153例(男性653例,女性500例;平均年齢75.0歳)の登録症例があった.NINDSのStroke Stroke Data Bankの診断基準に則った治療開始時の脳梗塞臨床病型の各頻度は,心原性脳塞栓症 28.1%,アテローマ血栓性脳梗塞(artery to artery塞栓症を含む) 31.7%,ラクナ梗塞 14.1%,一過性脳虚血発作 6.0%,その他 0.4%,分類不能 19.7%であった.再発例が25.1%を占めた.危険因子保有率は,高血圧59.7%,糖尿病57.9%,脂質異常症57.4%,喫煙33.0%(うち禁煙16.1%),2合以上の大量飲酒21.0%であった.急性期病院退院時のmodified Rankin scaleは,0~1が42.7%,2~3が28.0%,4~5が23.6%,6(死亡退院)が5.9%であった. 新規登録と並行して,登録症例の危険因子の管理・治療状況や再発の有無など臨床像の詳細な解析を進めている.
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