研究課題
肥満に高頻度に合併する脂肪肝特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝線維化、肝硬変の原因として注目され、NASHからの肝発癌も報告されている。近年肥満改善薬として漢方薬である防風通聖散(TJ-62)や大柴胡湯(TJ-8)が注目され始めている。臨床的にも脂肪肝を改善することが報告されているが詳細なメカニズムについてはわかっていない。我々は漢方薬・防風通聖散(TJ-62)と8種類の生薬からなる大柴胡湯(TJ-8)について、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する治療効果の検討のため、ラットコリン欠乏性脂肪性肝炎・肝硬変モデルを用いて検討を行った。防風通聖散投与群は肝線維化および炎症反応、肝発癌抑制効果を有意に改善した。これについてサイトカイン発現を検討したところマクロファージ系のサイトカインの抑制が認められた。このことから、防風通聖散(TJ-62)はマクロファージを介した間接的な肝線維化抑制や炎症反応の改善を行っていることが示唆された。大柴胡湯群(TJ-8)において前癌性病変であるGSTP染色が優位に抑制され、またサイトカインアッセイを行うとマクロファージ関連サイトカインの有意な抑制を認めた。このことから防風通聖散および大柴胡湯はCDAA投与ラット肝硬変モデルにおいて肝線維化を改善し、前癌性病変発生を抑制した。これらの結果より今後NASHに伴う肝線維化抑制の新しい治療薬となる可能性が示唆された。線維化や炎症と関連することから肝発癌抑制のメカニズムにもつながる可能性が考えられた。漢方薬を使ったこの結果は代替医療の研究が進んだ米国でも現在注目されており、さらなる検討が必要であると考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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