高齢者における早期の認知機能低下を把握することは非常に困難であり、その手段は確立されておらず、健康診査や外来受診時に実施可能な簡便な検査が必要とされている。本研究では、高齢者を対象として認知機能検査と身体機能検査の関連について横断的かつ縦断的に検討することにより、認知症高齢者を早期に把握可能な身体機能検査を確立することを目的としている。 研究対象者は、高知県内の研究地域に在住する高齢者である。平成22年度は、問診による生活機能(日常生活動作能力)に関する調査、認知機能検査、身体機能検査などの各調査項目について、研究分担者と協議・選定を行った。その後、本研究の実施について、研究代表者の所属研究機関において倫理委員会の審査を受け承認された。そして、対象者に対して、問診による生活機能(日常生活動作能力)、病歴等に関する調査、認知機能検査および身体機能検査を実施した。認知機能検査はMini-mental State Examinationを実施、身体機能検査はUp&Goテスト、5メートル歩行時間、開眼片足立ち時間を実施した。調査結果をデータ入力した後、認知機能検査結果と身体機能検査結果の関連について検討を行った。この検討結果から、認知機能と関連のある動作を取り入れた身体機能検査を考案した。23年度は、認知機能検査と新たな身体機能検査を追加した身体機能検査を実施し、両者の関連について検討する。認知機能の悪化を、簡便な身体機能検査で早期に把握可能となれば、健康診査や診療の場で活用可能となり非常に有意義と考える。
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