研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた日本では、今後、予測される認知症高齢者の増加が問題視されており、その対策が必要である。認知症対策としては認知機能の低下を早期に把握あるいは予想し、進行を予防することが重要である。しかし、高齢者における認知機能低下を早期に把握すること、あるいは予測することは非常に困難であり、その手段は確立されていない。本研究では、高齢者を対象として認知機能検査と身体機能検査の関連について横断的かつ縦断的に検討することにより、高齢者の認知機能低下を早期に把握可能な、簡便な身体機能検査を確立することを目的としている。本研究により、簡便な身体機能検査で、認知機能の悪化を早期に把握可能となれば、健康診査や診療の場で活用可能となり非常に有意義と考える。 研究対象者は、高知県内の研究地域に在住する高齢者である。平成26年度は22年度以降のベースライン調査に参加された70歳以上の高齢者89名(男性41名、女性48名)を対象として、認知機能、身体機能の追跡調査を実施した。認知機能検査はMini-mental State Examinationを実施、身体機能検査はUp&Goテスト(TUG)等を実施した。調査結果をデータ入力した後、認知機能検査結果と身体機能検査結果の関連について検討を行った。その結果、ベースライン時、MMSEとTUGは有意な逆相関を認め(r=-0.246, p=0.026)、また縦断調査では、MMSEの変化とTUGの変化は有意な逆相関を認めた(r=-0.422, p=0.023)。以上の結果から、身体機能の悪化から、認知機能の悪化をある程度予測することは可能と考えられた。
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