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2011 年度 実績報告書

三黄瀉心湯による抗メタボリックシンドローム作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22590660
研究機関琉球大学

研究代表者

坂梨 まゆ子  琉球大学, 医学研究科, 助教 (80363662)

研究分担者 松崎 俊博  琉球大学, 医学研究科, 助教 (50244330)
キーワード漢方薬 / 薬理学 / 東洋医学 / メタボリックシンドローム / 循環器・高血圧
研究概要

【目的】本研究は、三黄潟心湯(SST)によるメタボリックシンドロームの発症抑制作用を明らかにし、関連する機序の解明を目指すものである。平成23年度は、三黄潟心湯による血管内皮機能障害の改善作用、ならびに虚血再灌流心機能障害の改善作用を検討した。
【方法】血管実験:3ヶ月間の食餌負荷によりWistar系雄性ラットで高脂血症を誘発させた。食餌および薬物投与は以下の通り:通常食+水、高脂肪食+水、高脂肪食+低用量SST、高脂肪食+高用量SST。薬物投与終了後、胸部大動脈を摘出し、KC1収縮下の薬物による血管弛緩性を検討した。
心臓実験:Wistar系雌性ラットに偽手術(sham)または両側卵巣摘出術(OVX)を施行し、高脂血症を誘発させた。1ヶ月間、水又はSSTの強制経口投与を行い、薬物投与終了後、心臓を摘出して虚血再灌流実験を行った。灌流液中の心筋逸脱酵素量(CK-Mb)と窒素酸化物量(NOx)を測定し、再灌流終了後の心筋の各種一酸化窒素合成酵素(NOS)発現を検討した。
【結果】血管実験:アセチルコリン累積投与による血管弛緩は、通常食+水投与群に比して高脂肪食+水投与群で有意に減弱したが、高脂肪食+SST群では、用量依存性に弛緩の減弱が抑制された。ニトロプルシッドNa累積投与による血管弛緩は、各群間で有意差は認められなかった。
心臓実験:Sham+水投与群に比してOVX+水投与群では、再灌流中のCK-Mbが有意に増加し、虚血再灌流心機能障害の悪化が認められたが、SST投与によりOVX群のCK-Mbの増加は有意に抑制された。また、再灌流中の灌流液中のNOx量は、Sham+水投与群に比してOVX+水投与群で有意に増加したが、SST投与によりsham、OVX両群ともにNOxの有意な減少が認められた。現在、SSTによるNOx低下作用にどのような機序が関与しているのかを明らかにすべく、NOS発現の変化をWestern blot法にて検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、高脂血症、インスリン抵抗性、高血圧の3つのモデル動物を用いて、三黄潟心湯のメタボリックシンドロームの発症抑制機序を解明する目的で遂行されており、本年度はインスリン抵抗性の抑制作用を検討する予定であった。しかし研究を進める上で、食餌誘発性以外の高脂血症モデル(卵巣摘出雌性ラット)を用いたところ、窒素酸化物の産生増加を伴って摘出心臓の虚血再灌流心機能障害を増悪するという、予想外の結果が得られた。本研究により三黄潟心湯は、これらの作用を改善することが明らかとになり、現在は、その分子機序の解明を行っている。本年度の研究で得られた知見は、三黄潟心湯の虚血性心血管病の改善作用において、全く新しい糸口となるものである。したがって、当初の研究計画と一致せず、内容の変更はあったものの、おおむね研究は順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

研究を行う上で、当初計画に盛り込まなかった別の高脂血症誘発モデル(卵巣摘出雌性ラット)を用いて実験を行ったところ、三黄潟心湯による虚血再灌流心機能障害の改善作用が認められ、これまでに提唱されていない新しい機序の関与を示唆するデータが得られた。そこで本研究では、研究計画を一部追加変更し、三黄潟心湯による虚血性心疾患の発症抑制も含めて研究を推進する予定である。三黄潟心湯による高脂血症発症抑制作用については、現在関連する分子レベルの検討を引き続き行っている。これらの研究データが得られた後に、三黄潟心湯によるインスリン抵抗性改善作用に関する研究をスタートする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 三黄潟心湯はMn-SODの選択的な活性化により卵巣摘出ラットの虚血再潅流心機能障害を軽減する2012

    • 著者名/発表者名
      坂梨まゆ子, 他
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2012-03-16

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公開日: 2013-06-26  

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